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「就社すんな」についての補足

先日の高専カンファレンス in 沼津2で行われたディスカッションに、ゲストとして参加してきました。

ディスカッションでは、いくつかのテーマについて他のゲストの方も交えてお話をさせて頂いたのですが、
テーマの中のひとつに高専生の就職に関するものがありました。
その時の内容について、限られた時間での話で、文脈が不明瞭な部分もあったと思います。
このエントリでは、もう少しきちんとした文章という形で、改めてお伝えしたいと思います。

自信を持った就職をするためには

回答

就社しないでください。

前置き

「就社」そのものは悪ではありませんし、
「就社」そのものを否定するつもりはありません。

ディスカッションの中でも話ましたが、
社会の中で生きていく中で大事なことの一つに「Priority(優先度)」の付け方があります。
世の中には「就社」の優先度を高く設定する人もいますし、そうではない人もいます。

今回お話させて頂いたのは、「就社」がいまいちピンと来ていなさそうな学生が対象だろう、
そう私の方で判断して喋らせて頂きました。

就社とは

会社に就く(かいしゃにつく)という意味の言葉として使いました。
職業に就く(しょくぎょうにつく)という就職に対して、
特定の企業・会社・法人・組織など(以降単に会社と表記します)に就くという意味合いを強調しています。

もう少し具体的に言うと、就社というのは、会社の名前(ブランド)やイメージ、給与水準、福利厚生など、
職業や業務内容とは別の基準で会社を選び、その会社に就業することです。

「就社」になる理由

多くの学生は会社というものを知りません。
世の中にどんな職業があるのかを知りません。
どうやったらお金を稼げるのかを知りません。

そんな学生の手元にやってくる企業の求人票には、求人対象の業務内容の詳細は書かれていないのです。
そこに書いてあるのは、その会社の事業領域に関する若干の情報と、
多くはWebで調べればすぐ判るような企業概要情報、そして求人のための最低限明示される条件です。

会社に入ってどんな仕事をしなければならないのか、
その仕事にはどんな知識が必要なのか、
そもそも会社に入ってからどの部門に配属になるのかすらも判らない。
判らないだらけの中で、それでもどこか選んで就職活動をしなければならない。
それが学生にとっての現実です。

そうした背景から、企業の差別化を行う基準が業務内容から乖離した部分に定められてしまうのではないかと思っています。

見えない未来

ある程度規模の大きい企業に入社すると、
まずどの部門に配属になるかで、希望する業務に就けるかどうかの分岐点が来ます。
時期については企業に依るのですが、早ければ入社から半年とたたずに将来を決める一つの分岐点がやってくるわけです。
そして、その分岐点では、今後歩む道を決めるのは自分ではなく、
ろくに顔も合わせたことのなく、自分のことを知りもしない会社の中の「誰か」なわけです。

規模の小さい企業でも、実際に自分に任される業務内容というのは、
その会社に入ってみるまで明かされないことがあります。

会社に入ってさえ、自分の将来に対する不安が消えず、本当にこの会社に入って良かったのか?
自分が情熱を傾けれるような仕事が与えられるのだろうか?
与えられた仕事が自分に合わなかったらどうしようか?
そうした不安感を、就活の段階で拭い去ることは難しいかもしれません。

未来を見るためのツール

不安を拭い去るために必要なことは、思い切りや自己の装飾ではありません。
未来を見るために必要なツールは、「本当に必要なものは何か?」を見定める力と、「前に進む意志」です。
ディスカッションの場では「Priority(優先順位)」と「Motivation(動機)」という言葉を使用しています。

自分に与えられた、または自分が得られる可能性の中から、どの可能性を選ぶのか?
そしてその可能性を選ぶ基準となる動機を何に求めるのか?
これが決められれば、霞のかかっていた未来を、ほんの少しだけ見通すことができるようになります。
そして何より、自分で決めるという意志を持つことで、不用意に惑わされずに済むようになります。

会社や職業を決める前に、社会に出てから自分がどうやって生きていくのか、
何の価値を自分の中で最大化させたいのか、
学生という時期の評価基準で構わないので、まずそうした部分と向き合うのが良いのではないかと思います。

可能性を絞り込む

「就社」をする場合、優先順位を決めるための評価軸が複数でてくることがあると思います。
たとえば企業のイメージや給与、就業地、勤務体系、それから業態など、複数の項目を見て総合的に判断するということがよくあると思います。
こうした場合、迷いが入り込む余地が多くなってしまい、本来考えるべき「Priority」や「Motivation」が曖昧になってしまいます。
そうした場合、より迷う余地の少ない評価軸、つまり「職業」や「職種」を評価軸に導入し、その優先度を最大化することで、曖昧さを回避することができます。
もちろん「職業」や「職種」以外の評価軸を導入しても構いません。
ここでは話の本筋ではないので、特に触れませんが。

職業を知る

世の中にどんな職業があって、大人たちがどうやってお金を稼いでるのかを知りましょう。
学校の外に出て、そこで出会った大人の人に聞いてみてください。
「どんなお仕事をしてお金稼いでるんですか?」
「普段会社でどんなことをしているんですか?」
そうやって世の中にどんな仕事があるのか、いろんな人に尋ねてみてください。
高専カンファレンスに参加している先輩方に、機会があれば是非聴いてみてください。

最後に

以前にどこかで書いたような文書を書いて、最後にします。

社会に出てからの人生のうち、仕事に費やす時間というのはとても多いのです。
例えば20歳で就職して65歳まで会社勤めをしたとすると、45年間は何かしら仕事をすることになるわけです。
毎月の平均的な勤務時間が160時間だとすると、毎年1920時間を仕事に費やすわけです。
一年は8760時間ですから、一年の2割以上は仕事に費やすわけです。
残業や休日出勤、長期出張による勤務時間の増加や、通勤のための時間も加えれば、
実際にはもっと多くの時間が、それこそ3割程度を仕事に費やしている人もいるかもしれません。
さらに、一日の活動時間を考えると、睡眠を除いた活動可能な時間は、睡眠時間が8時間の人で16時間です。
つまり45年間という膨大な時間のうち、約半分が仕事のために費やされるのです。

それだけの時間を迷ったまま、納得のいかないまま、楽しめないまま過ごすのは勿体無いと思います。
世の中には「仕事はつらいもんだ」という人もいますが、人生の半分を「辛い時間」で終わらせるのが本当に良いことだとは私には思えません。
是非、自分の納得の行く職業を、仕事を探してください。